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ユーザー使用事例

〜どのようにお使いか見学させて頂けませんか?〜 東京工業大学のものつくりサークル「Meister」様の鳥人間コンテスト機体製作での使用例

 2012年にたまたま別の企画と合わせて青森県八戸市で開催される「八戸三社大祭」の山車制作現場を見学させて頂く機会があり、こちらの想像を遥かに超えた使い方で活用されているのを目の当たりにして、びっくりするやら嬉しいやら。
 しかしかれこれ25年以上ヒイトカッターを販売してきていますが、実際にユーザーの方がお使い頂いているのを見る機会は残念ながら殆どありませんでした。
 そこで思い立って、そうしたユーザーの皆さまに「どのようにお使いか見学させて頂けませんか?」とお願いしてみることにしました。

 


東工大正門 1977年に始まり毎年夏に開催されている「鳥人間コンテスト」。この大会に1992年から参加し人力飛行機部門で毎回優勝を争う最有力チームの1つに、東京工業大学のものつくりサークル「Meister」があります。
 この「Meister」の人力飛行機の製作にヒイトカッターが活用されているのに気づいたのは、たまたまチェックしていた受注リストに「東京工業大学ものつくりサークルMeister」(以下Meister)の名前を見つけ「ほ〜っ東京工業大学!いったい何に使っているんだろう?」と検索して、人力飛行機の製作チームのホームページに辿り着いたことでした。
 元々鳥人間コンテストは毎年楽しみにテレビで見ていましたし、ロマン溢れる人力飛行機の製作に使われているなんて!と、9月のテレビ放映を楽しみにしていました。しかし2014年大会は、悪天候のために残念ながら大会2日目の人力飛行機部門の競技が中止となってしまい、その勇姿を見ることはできませんでした。が、逆に考えると未飛行の機体はそのまま残っているはずで、もしかしたら工大祭(東京工業大学の学園祭)で見られるかも…と思い問い合わせてみると、学園祭での展示は準備が間に合わないため行いませんが、現在機体を分割して保管してある場所にご案内することは可能です、とのことで、是非ともと見学を申し込んで、東京工業大学(以下東工大)のある大岡山まで行ってきました。

奥に進むと…イチョウ並木を歩いて着いたものつくり教育研究支援センター 大岡山駅で待っていてくれたのは、ものつくりサークルMeister2014年度コックピット班フェアリング系主任・設計の永島さん。
 「機体は分解して仮に置かせてもらっている状態なので、狭くて見づらいのですが良いですか?」とのことですが、もとより無理を承知でお願いしているので問題はありません。
 交差点をはさんで駅のすぐ向かいにある大岡山キャンパス正門を抜け、南に伸びる長いイチョウの並木道を300mほど歩いて行くと左手にピンク色の扉の倉庫が見えてきます。ここがMeisterの活動拠点で、向かいの南2号館1階のものつくり教育研究支援センターホールに2014年の機体「宙(そら)」が格納されていました。
 「見えますか?写真を撮るにはちょっとどうかと思うんですが…」と少し申し訳なさそうな永島さん、確かにパイロットが乗るフェアリングは一番奥にあって手前には分割された翼が何枚も並んでいます。全体を見てみたいもののこれは致し方ない、それにヒートカッターをどの様に使うかを伺いに来たわけだから…。

左:スタイロフォーム製の分解された翼が見える 右:これがコックピット。マンボウみたい
左:スタイロフォーム製の分解された翼が見える 右:これがコックピット。マンボウみたい
左:中を覗き込むとフレームの後ろに… 右:四角い穴がヒートカッターで開けたという乗り込み口
左:中を覗き込むとフレームの後ろに… 右:四角い穴がヒィトカッターで開けたという乗り込み口

ホール隅にしまわれたコックピット。中を覗き込んでみると滑らかなボディが見えました。サイドの四角い穴はパイロットの乗込口。
 「ここから見えている開口部はヒイトカッターで開けています。」なるほどフロントキャノピー、後部のアウトレット、右側の穴はパイロットの脱出口?
 「と云うより乗り込み口ですね。脱出の時は水面に着水した時点で、このフェアリングは壊れちゃいますから。」
 なるほどね、MeisterのホームページでもTF(テストフライト)用のフェアリングと本番用とを製作し、TF用は直しながらテストを繰り返して最後にパイロットの脱出実験で壊して本番用に取り替える、とあったので、このフェアリングは本番ただ1回のために用意されたものであるわけです。

​送って頂いたコックピット全景。きれいなフォルムですね。
​送って頂いたコックピット全景。きれいなフォルムですね。

 それにしてもこのフェアリング、物凄くタイトに作られていました。最初見た時「左右に2分割された状態なのかな?」と思ったのですが、分割ではないそのまんま。もっと丸っこいフォルムをイメージしていたのに、実物はリッターバイクのフルカウリングの幅くらい…でしょうか、鯛とかマンボウとかのボディに近い平べったいフォルムでした。これはどうやって…?
「2つのブロックから削り出して左右で合わせています。完全に目張りをして集塵機を取り付けた専用の部屋があって、そこで作業します。最初は電動工具で削り、表面の仕上げはサンドペーパーで磨くんですが、粉が凄くてもう辺り一面真っ白になってしまいます。」
 ヒイトカッターで抉り取ることもしますよ、とのことですが、U型ニードルで刮げとっていくのでは結構大変そう。静電気で付着すると取れない粉が出ないだけマシかも知れませんけれども。

report_meister06.jpg 「既に2015年度のチームにバトンタッチしていて、今は新しい機体の構想を練っている段階でヒイトカッターの作業はやっておらずお見せ出来ないのですが」とのことでしたが、実際の作業を行なう倉庫も見学させて頂きました。奥の部屋では新メンバーがミーティングを開いており、新しい2015年度コックピット班フェアリング系主任・設計の仮屋さんにも話を伺うことができました。
 鳥人間コンテストでは東工大とともに東北大、日大が常連の強豪で、鳥人間に憧れて東工大に入学する様な人もいるのかと思いましたが、「あまりそういう人はいないですよ、むしろ春のサークル紹介で知り『そう云えばやっていたなぁ』と初めて興味を持ってくる様な人が多いです。」とのこと。
 まぁ後で気がつきましたが、鳥人間に出たいがためだけで入れる様な大学では東工大はありません。凄くアホな質問をしてしまった気がしてガックリ。
 仮屋さんも訊けば化学系専攻とのことで構造計算などでちょっとはあるものの「学んでいることと飛行機はほとんど関係ないですね!」だそうです。

加工を行なっている作業場。ブルーシートはサンディングで飛び散る粉の飛散防止用かな?
加工を行なっている作業場。ブルーシートはサンディングで飛び散る粉の飛散防止用かな?

 余談ながら飛ばすことの出来なかった「宙」号はどうなるのか訊ねると「来年春くらいに何処かで飛ばしたいな〜という話はあります。但し場所や近隣との折衝など調整は必要で、実現するかはまだ分かりません。」だそうで、一度も飛び立つことなく解体されてしまっては忍びないと思っていただけに、そのフライトも楽しみになりました。見に行けたら良いのですが。

 そんなこんなでヒイトカッターをダシにして、個人的趣味で一度見てみたかった人力飛行機の制作現場を訪ねただけになってしまった感もありましたが、実際に作られたフェアリングを見ることができましたし、「来年の機体製作でもヒイトカッターは使いますよ!」ということなので、また来年の大会を楽しみにしたいと思います。
 見学にご協力頂きました永島さん、仮谷さんほかメンバーの皆様、どうもありがとうございました。

これも送って頂いたTF(テストフライト)の様子。本番で飛ぶところが見たい!
これも送って頂いたTF(テストフライト)の様子。本番で飛ぶところが見たい!

永島さんと仮屋さん右が対応して頂いた2014年度フェアリング主任・設計の永島さん、左が2015年度フェアリング主任・設計の仮屋さん。色々教えて頂きありがとうございました!

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